十数年の時をかけて、数百kmの距離を越え
て、数万文字の言葉を費やして、数万小節の
音符を積み上げて
今日も音楽が鳴って、過去と未来が錯綜する
耳鳴りに、僕らは一瞬の夢を見る
埋め合わせようのない欠落や
永遠なんてないという諦めや
全部捨てて逃げ出した臆病さや
それでも逃れられない自分という最小単位が
僕らをこの夜に連れてきた
音楽が止んだ後の静寂に
拍手と高揚とフィードバックの減衰に
あなたがふと、我に返ったとき
途方に暮れて、なす術なくうなだれる長い夜
手持ち無沙汰に探ったポケットに
今日の音が、今日の言葉が、一欠片でも残っ
ていますように
夜の隅っこで泣いていたあなたへ
どうか、どうか、生き延びて