──陸が自分の意志で選んだことに、意味があると思う。彼が彼自身の夢を叶えようと手を伸ばすことが、尊いことだと思う。
それなのに。
自分の手で、彼の意志を奪うようなことをしてしまったことが、一織は許せなかった。
【あらすじ】
血が、足りない。
空想上のヴァンパイアに似た症状を持つ失血症候群を患っていた一織は、吸血行為を忌避していた。
しかし、耐え難い渇望に駆られたとき、陸の血を口にしてしまう。
血を吸われた陸は、一織に血を分け与えたいと願うようになり、失血症候群患者に対し、俗に眷属と呼ばれる存在になる。
陸が眷属であることを許容できなかった一織は、彼と距離を置くようになった。
失血症候群とは何なのか。それを“解く”方法はないのか。